多汗

多汗


多汗症には、脇や手のひら・足の裏など限局された部位のみに汗をかく場合と、全身から汗をかく場合があります。

汗を大量にかくため、日常生活に支障がでてしまったり、家族や友人に理解されずに精神的な苦痛を受けていることも少なくありません。

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多汗症とは

多汗症には全身に汗が増加する全身性多汗症と体の一部に汗が増える局所多汗症があります。
全身性多汗症には特に原因のない原発性と感染症、内分泌代謝異常や神経疾患に合併するものがあります。
局所多汗症も原因のわからない原発性と外傷や腫瘍などの神経障害による局所性多汗症があります。
原発性局所多汗症では手のひら、足のうらや脇という限局した部位から両側に過剰な発汗を認める疾患です。
局所多汗症は手掌、足底、腋窩に生じることが多く、日常診療でもよくみられる疾患です。本邦では原発性手掌多汗症患者さんの有病率は人口の約5.3%と高い割合といわれています。
2010年に日本皮膚科学会から原発性局所多汗症ガイドラインが発表されました。多汗症には診断基準と重症度があります。

局所的に過剰な発汗が6カ月以上持続しており、以下の2項目以上あてはまる場合を多汗症と診断しています。
限局性多汗症の診断基準

1)最初に症状がでるのが25歳以下である。
2)対称性に発汗がみられる。         
3)睡眠中は発汗が止まっている。       
4)1週間に1回以上多汗のエピソードがある。 
5)家族歴がみられる。           
6)それらによって日常生活に支障をきたす。
重症度の判定はStruttonらが自覚症状により以下の4段階に分類した、Hyperhidrosis disease severity scale(HDSS)を用いて行います。
重症度の判定(HDSS)
 (1)まったく気付かない、邪魔にならない。
(2)我慢できる、たまに邪魔になる。
(3)どうにか耐えられる、しばしば邪魔になる。 
(4)耐えがたい、いつも邪魔になる。
このうち(3)、(4)の症状を重症と分類します。

わきがとは

人の汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺があります。
エクリン腺はほぼ全身に分布しており、温熱刺激による体温調節の役割を果たしたり、精神的緊張によって発汗します。
一方アポクリン腺は腋窩や外陰部に存在し、思春期になると性ホルモンの影響で発達します。
これはほぼ無臭なので直接の腋臭の原因とはなりませんが、アポクリン腺の汗の中の脂肪酸が皮膚の表面の細菌によって分解され、3メチル2へキセノイン酸が産生されます。これがわきがの原因物質といわれています。
また、ワキガは優性遺伝しますが、日本人などの黄色人種ではその頻度は約10%と言われています。

多汗・わきがの治療

当院では、軽症から重症に分けて治療を行ってまいります。
治療多汗・わきが治療には保険適応のものもあります。
お悩みの方は当院へご気軽にご相談ください。
軽度
・塩化アルミニウムアルコール液

・エクロックゲル(保険適応)

・内服薬(保険適応)

中等度
・軽度の治療

・A型ボツリヌス毒素の局所療法

重度
・軽度・中等度の治療

・外科的治療

塩化アルミニウムアルコール液 塩化アルミニウムは角層の汗管に沈着し、汗の管を閉塞させます。腋窩、手のひら、足のうらに塩化アルミニウム溶液を寝る前に外用します。

効果がでるまで最低2〜3週間かかります。汗が止まってきたら外用の間隔を少しずつ空けていきます。

塗布で効果が少ない場合、汗の量が多い場合はサランラップなどで覆う密封療法を行うと、より効果的です。

なお、塩化アルミニウムで皮膚炎が起こることがあるため、当院では患者さんに合わせて濃度調整をしています。
エクロックゲル
2020年より処方が可能になった、保険で処方できる初の多汗症治療の外用薬になります。
脇の汗に適応があります。
エクリン腺の受容体をブロックすることで過剰に出る汗を止めます。
内服薬 唯一保険適応があるのは臭化プロバンテリン(商品名;プロバンサイン)です。
副作用として、口の渇きや眠気などがあります。
 
A型ボツリヌス毒素の局所療法 ボツリヌス菌毒素はボツリヌス菌が産生する神経毒素でA〜G型の7種があり、この中でA型ボツリヌス毒素(BT-A)は最も効率よく交感神経から発汗の指令をだすアセチルコリンを抑制します。腋窩に2cm間隔で局所注射すると1週間程で汗の量が減少し、約6ヶ月程度効果が持続し、繰り返し処置を受けるとさらに効果的ですが、根治療法ではありません。

BT-Aの投与量が少ないと効果が弱いので、重症度にあわせた投与量が必要です。

2012年から重症の原発性腋窩多汗症に対するA型ボツリヌス毒素の保険治療が追加されました。
しかしながら、手のひらは保険診療ではなく、当院では行っていないためご了承ください。
外科手術 A型ボツリヌス毒素の局所療法の無効例、重症例に対して、当院ではクワドラカット法を行っています。

局所麻酔で行い、脇の毛が生えている部分の端に2‐4か所、約4,5mmの切開を行い、クワドラカットという特殊な装置で臭いの元になるアポクリン汗腺を削り取りながら吸い出します。吸引法より多くの汗腺・脂腺・毛嚢等がとれます。(個人差がありますが、80〜90%以上の臭いが軽減します) 包帯での固定期間が3〜7日程度必要です。
副作用としては、出血、血腫、色素沈着などがあります。

保険適応外であり、費用は25万円程度です。
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皮膚科・形成外科・アレルギー科 センター北ヒロクリニック
※ 各種保険取り扱い。労災指定病院。
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